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PHPとは?わかりやすく言うと「自動販売機の中の機械」|画面でも鍵でもない

🕒 2026-10-24解説PHPセキュリティ

PHPとは何か、簡単に言うと、Webサイトの裏で動く「自動販売機の中の機械」です。WordPressとPHPの関係、10月21日の脆弱性(php2shell)で何が起きたのか、なぜ見る人は何もしなくていいのか、なぜサポートが終わった古いバージョンがいちばん危ないのかまで、自販機ひとつで説明します。

「PHPに深刻な弱点が見つかった」。10月21日の夜から、このニュースが何度も流れました。

……で、PHPって何?

説明を探すと、画面にたとえたり、鍵にたとえたり、話す人によってたとえがばらばらです。聞けば聞くほど分からなくなります。

この記事では、たとえをひとつに決めて、最後まで押し通します。自動販売機です。

サイトを持っている会社・お店の方で、「うちのサイトは大丈夫なのか不安」「誰に相談すればいいか分からない」という方のために、無料点検のご案内があります。サイトのURLだけで、外から見える範囲を点検します。

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1. PHPとは?簡単に言うと、自販機の「中の機械」

自販機の前に立つと、見えるのは正面だけです。見本の缶と、ボタンと、値段。

でも、ボタンを押してから缶が「ガコン」と落ちてくるまでのあいだ、中では機械が働いています。「どのボタン?」「お金は足りてる?」「在庫ある?」を確かめて、缶を1本選んで落とす。

ホームページも、まったく同じ作りです。

正面(見える)🥤ホームページの画面写真、文章、ボタン。見る人が目にするところ。お店ごとに、デザインは全部ちがう
中の機械(見えない)⚙️PHPページを開いた瞬間に、裏で「何を出すか」を決めて、画面をガコンと出している。中の機械は、ほとんどが同じ作り

PHPは、この中の機械を動かしているプログラミング言語(プログラムを書くための言葉)です。見る人のスマホやパソコンの中ではなく、サイトの置き場所(サーバー)の中で動いています。

そして、この中の機械が、とにかくたくさん使われています。

約7割裏の仕組みが分かっているサイトのうち、PHPで動いているサイトの割合(W3Techs調べ、2026年10月24日時点)

2. WordPressとPHPの関係:WordPressは「いちばん売れてる型の自販機」

会社のホームページでいちばん多い作り方が、WordPress(ワードプレス)です。

自販機で言うと、WordPressは町でいちばんよく見かける型の自販機です。買ってきて置けばすぐ使えて、見本の缶やボタンの並びは、お店が自分で入れ替えられる。便利なので、あちこちに置かれています。

その自販機の中に入っている機械が、PHPです。上から順に重ねると、こうなります。

🥫
見本の缶・ボタンの並びページの文章や写真。お店が毎日いじるところ
🏪
自販機の型 = WordPressいちばん売れてる型。ほかの型(作り方)もある
⚙️
中の機械 = PHPWordPressの型にも、ほかの多くの型にも、この機械が入っている

ここがよく勘違いされるところです。WordPressの「更新」ボタンを押すのは、見本の缶やボタンの並びを新しくするようなもの。中の機械(PHP)は替わりません。今回直す必要があるのは、中の機械のほうです。

3. 登場人物を並べると

このあとの話は、全部この表のとおりに読めます。

自動販売機ホームページ
見本の缶・ボタン→ページの文章や写真
自販機の型→WordPressなどの作り方
中の機械→PHP
機械のメーカー→PHPの開発元
自販機を置いているお店→サイトを持っている会社
中を開けて修理できる業者→サーバー会社・制作会社
ジュースを買う人→サイトを見る人

4. 10月21日、メーカーが言ったこと

10月21日の夜は、自販機の世界で言えば「町じゅうの自販機に、今夜いっせいに部品交換が必要」という、めったにない夜でした。時間の順に並べます。

  1. 10月21日PHPの開発元が「深刻な弱点が2つある。今夜、直した版を出す」と予告。IPA(国の情報セキュリティの機関)も、すぐ直せるよう準備を呼びかけ。メーカーが「今夜、全国の自販機向けに部品を配ります。業者さん、待機しといてください」と前もって連絡。
  2. 21時55分高市総理がXに投稿。「サイトでPHPを使っているか確かめて、修正をすぐ当てられるよう準備を。すぐ当てられないなら、サイトを一時的に止めるのも手」という内容。総理大臣が「今夜部品が届くので、すぐ付け替えて。間に合わないなら、自販機の電源をいったん抜いて」と呼びかけた。それくらいの大ごと。
  3. 21日の夜直した版が公開される。通称「php2shell」。部品が届いた。あとは業者が付け替えるだけ。
  4. その後企業のサイトで、緊急メンテナンスや、念のための公開停止が相次ぐ。あちこちの自販機に「調整中」の紙が貼られた。

弱点の深さは、10点満点でこうでした。

9.2 / 10ほぼ最悪のクラス。ログインしなくても、外からサーバーの中で好きなことをされてしまう弱点でした。

メーカーの発表を、自販機の言葉にするとこうなります。

🏭
機械のメーカーえー、うちの機械なんですが、ボタンをある順番で押すと、お金を入れてないのに扉がパカッと開いちゃうことが分かりました。今夜、直した部品を配ります。

扉が開いてしまえば、中は触り放題です。

部品を替えないまま放っておくと扉の開いた自販機は、こうなる

💰売上金を、ごっそり持っていかれる問い合わせフォームに入った、お客さんの名前や電話番号を持っていかれる。
🌶️「おしるこ」を押したら「激辛ソース」が出てくるページを書き換えられる。会社のお知らせが、知らない広告や変な文章に入れ替わる。
🪙お金の投入口の上に、ニセの投入口を貼られる申込や支払いの画面を、ニセ物に差し替えられる。入れた情報は全部、悪い人のところへ。
🧰夜中に、悪い人の道具置き場にされるそのサーバーを踏み台にして、ほかの会社を攻撃される。

しかも、正面からは何も変わって見えません。
ニセの投入口は本物そっくり。ボタンを押せば、ちゃんと冷えた缶も出てきます。

そして「この順番で押すと開く」という噂が広まると、その順番を試して回るロボットが、町じゅうの自販機を1台ずつ回り始めます。お店の名前も大きさも見ていません。このロボットの話はサイバー攻撃の手口、ほとんどは「戦い」ですらないに書きました。

5. 買う人は、何もしなくていい。でも、関係なくはない

扉が開いてしまうのは、機械の問題です。買う人が財布を新しくしても、小銭をピカピカに磨いても、直りません。

サイトも同じです。見る人がスマホやパソコンを更新しても、この弱点には関係ありません。

ただ、「じゃあ自分には関係ないか」と思うのは早いです。直せるのはお店と業者だけ。でも、被害は買う人のところに来ます。

お店が部品を替えないままだと、いつか買う人に回ってくる
  1. ニセの投入口に、お金を入れてしまういつも使っているお店のサイトで、いつもどおり申込や支払いをしただけなのに、入れた名前・住所・カード番号が悪い人に渡る。
  2. 昔書いた情報まで、まとめて持っていかれる何年も前に問い合わせフォームに書いた名前や電話番号も、サーバーに残っていれば一緒に抜かれる。
  3. 知らない番号から、電話やメールが来るようになる抜かれた情報は売り買いされて、別の詐欺に使われる。

そして、サイトを持っている会社にとっては、これは「お客さんに迷惑をかけた」という話になります。謝るのも、信用を取り戻すのも、お店です。

直せるのは、自販機の中を開けられる業者、つまりサイトを置いているサーバー会社や、サイトを作った制作会社です。サイトを持っている会社がやることは、その業者に「うちの機械、部品替えてくれました?」と聞くことだけです。そのまま送れる聞き方の文面は、PHPの脆弱性、うちのサイトは関係ある?に置いています。

6. いちばん危ないのは、部品がもう出ない古い型(サポートが終わったバージョン)

メーカーは、古い型の部品をいつまでも作ってはくれません。PHPも、バージョンごとにサポート期限が決まっていて、期限を過ぎた版には、直した部品(修正版)が配られなくなります。これを「サポート終了」と言います。今回の部品が届いたのも、8.2以降の版だけでした。

その「部品がもう出ない型」が、どれくらい残っているか。

3分の1以上PHPで動いているサイトのうち、版が7より古いサイトの割合。どれも、修正がもう配られていない版です(W3Techs調べ、2026年10月24日時点)

しかも、今回は部品が届いた8.2も、2026年12月31日で修正の配布が終わります。あと2か月ほどで、8.2も「部品がもう出ない型」の仲間入りです。

これは、お店がサボったとは限りません。10年前に置いてもらってから、だれも点検に来ていない自販機。業者との契約が、いつの間にか切れていた自販機。正面のポスターだけは新しい自販機。そういうのが、町じゅうに立っています。

古い型は、部品の交換では済みません。中の機械を新しい型に入れ替えるか、自販機ごと置き直すことになります。

7. 「画面」でも「鍵」でもない

ほかのたとえが少しずれてしまうのは、PHPが見えないところにあるからです。よく見かける3つを、自販機で言い直しておきます。

PHPは、ホームページの画面のこと画面は自販機の正面です。PHPは、その裏で缶を選んで落としている中の機械です。正面をきれいに新しくしたばかりでも、中の機械は古いまま、ということがよくあります。
PHPの弱点は、鍵の閉め忘れのようなもの鍵なら、お店が気をつけていれば閉められます。今回は「ある順番で押すと扉が開く」という機械の作りの問題なので、お店がどれだけ気をつけていても、部品を替えるまでは開いてしまいます。
見る人も、スマホを更新したほうがいい買う人が財布を新しくしても、自販機は直りません。スマホの更新はふだんから大事ですが、この件とは別の話です。

自分のサイトの中の機械が古い型かどうかは、外から分かることもあります。サイトによっては、ページを開いたときにサーバーが返す情報に、PHPの版の番号がそのまま書かれています。自販機の横に「この機械は○年製です」と貼ってあるのと同じで、試して回るロボットからも、その番号が見えています。

自分のサイトのPHPのバージョンを確かめる方法と、サーバー会社への聞き方は、PHPの脆弱性、うちのサイトは関係ある?にまとめています。

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この記事で使った数字の出典

  • W3Techs「Usage statistics of PHP for websites」(PHPで動いているサイトの割合、版ごとの割合。2026年10月24日時点)
    https://w3techs.com/technologies/details/pl-php
  • PHP公式「Supported Versions」(修正が配られている版と、配布が終わる日)
    https://www.php.net/supported-versions.php